川戸先生

川戸佳先生インタビュー

1999/1/23 @東大駒場16号館物理談話室


川戸佳先生

1950年生まれ。理学博士(1979年)。 専門は脳情報生物物理学。 インタビュー時現在、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系教授。


インタビュアー:岡本吉央,田中佑人,鈴木雄治郎
テープリライト:鈴木雄治郎
フォトグラファ:鈴木雄治郎

岡本:
いろいろと質問させて頂くんですけど。 手元の資料を見ると、川戸先生は平成元年度〜平成5年度までの5年間ほど基礎二の担当をしてらっしゃるということなんですけれど。 その担当になられた経緯とか、物理教室でどのように決められていたのか、ということをお話して頂きたいのですが。
川戸:
どういうふうにというのは、、、担当をやってみないか、と言われて。
岡本:
どなたから。
川戸:
えーとね、浅野先生から言われた。 要するにね、物理は2人だすということになっていたんですよね。 その時は小牧先生とね。 小牧先生はずっとやってる。 小牧さんにはインタビューしたの?
岡本:
小牧先生はまた後日。
川戸:
小牧教授が一番長い。 藤本先生が最初で、その後小牧先生がなって。 それで2人出すことになって、だから現在は小牧先生と池上先生と。 その前に僕がやってたんだな。 その時は僕と小牧さんが。 陶山先生も担当の時期あるよね。
岡本:
はい。
川戸:
それでまあ、基礎科学科第二の趣旨から生物物理の人が担当になるのがいいんじゃないか、とそういう話しなんです。
岡本:
その趣旨から生物物理の方が、っていうのは。
川戸:
システム工学に近いということ。 だから、自然システムとか生命システムとかそういうのには、割合僕の専門は生物物理学なので、物理学というのは pureな学問が多いので、素粒子論とか原子核とか物性理論とかさぁ。 そういうものよりはシステム論、生命システムをやっているというので、生物物理の人がやるか、とこういう話しだったと思うけど。 それでまあ一辺やって見ましょうと。
岡本:
物理からは2人出すという人事というのは、毎年毎年会議をして、
川戸:
いや、今も2人だすと、だから1講座出すということになっている。 僕は昔のことは良く分からないけども、基礎科学科第二というのは物理・化学・数学・生物・図学とか各部会が関与するということになっている。 物理はそこで2人の先生が関与するポストがあると。 2人は少なくとも。 じゃ、今も物理部会からは2人広域システム学科に張り付けると。
岡本:
当時は生物物理という分野の状況としては、まだ生物物理学というのは確固とした学問分野として、
川戸:
生物物理はもう確固としていたよ。 学生には分かってないけどさ、生物物理学会も35年間の歴史があって、生物物理学でノーベル賞を受けてるのは結構多いよね。 ワトソン=クリックはDNA構造解析と。 それから同じ年にヘモグロビンとミオグロビンの構造解析したケンドリューとペルーツという人がいるね。 それとあと、デルブリュックという理論家が大腸菌の遺伝子のことをやってたね。 要するに物理学から生物の原理を見るという、それはずいぶん前ですよ。 終戦後すぐだよね。 1950年代ノーベル賞を受けて、それから後生物物理学でノーベル賞取ったのは結構あるよね。
田中:
彼らは物理学賞を受けたんですか。
川戸:
いや、化学賞。 ほとんど化学賞を受けているんです。 要するにさ、新しい学問というのは、物理学賞というのを受けずに化学賞を受けているんだよ。 医学・生理学賞受けるのはなかなか難しい。 それは医者が多い。 境界領域の分野で医学・生理学賞を受けている人はたぶんいないじゃないかなぁ。 利根川進さんは分子生物学で医学・生理学賞を受けて、最近は医学・生理学賞はそういうのででてるかもしれない。 で、生物物理学というのはそれから大きな発展というのは、なんでしょう。 例えば病院にいくと CT の装置があるやない。 NMR-CT とか。X 線CT に入れば NMR-CT とか。 脳の断層撮影。 断層撮影というのは今や普及している。 断層撮影は生物物理学的。
岡本:
生物物理学っていうのを一言で言うんだと、生物に対して、
川戸:
生物を物理的に理解するんだけど、ある意味では要するに分子機械論。 非常に分かりやすい言葉で言うと、我々は分子でできた機械であると、その機械がうまく作用していると。 我々がこういうふうに会話していて答を出すのも物理のリンクとか言ってね、非常に巧妙にできたマシンが昔の記憶と対応させて最も確からしい、という答を出している。 人工知能を作ろうと、人工知能は工学的にも作るけど生物物理学者がやってい るのも非常に多い。

要するに最初はだからどうして僕が基礎二の担当になったかというとね、そういう意味で生命がシステム的に input を受けて、中で考えて、output を出すというそういう機械だから、生命システムというのを理解する時に、理解して学生に教えるにはかなり適当な人材であるとか学問分野である、ということですね。 だからそんなに趣旨に離れていない。 生命システムとか何とかシステムとかあったよねぇ。 で、その中で生命システムの担当というのはさ、生物の人がやるよりは物理学者がやったほうが良い、 そういう意味でね。だって基礎二ってそんなに生命指向の高い学生がいるというよりはコンピュータとかシステム論的に理解したいというのが多いから。 よくわからない。 年によって差がある、そんなに人数が多くないからね。 まぁ、設立の趣旨にはあっていると。

長い間学生を教えていると毎年毎年学生の希望のふれが大きいよね。 母集団が少ないから。 でも趣旨に外れてるとかいうことはない。 生物物理学をこうやって学生に話しをするとものすごく新しいと思われる。 学生は大学院の修士課程のレベルくらいに来てようやく学問というのがわかるので、それまでは最先端の学問の配列からはずいぶん遠いところを習ってるわけで、分からない。 昔の学問とか学んでるからね。 新しい学問と言いながらも要するに学問は積み重ねなので、現在の学問分野がどうなっているかというのは分かるのは修士くらいでね。

岡本:
基礎二はどうかっていうのは教養学部全体に関わりますけれども、学際的というのをうたっていて、そういう所から見ると生物物理学っていうのは学際的なものですか。
川戸:
もろ学際的だよね。 生物物理学会というのはね、物理学と生理学の人とそれから薬学部の人、農学部の人と、工学部の化学系とかね生命系とか、たくさんの学部からの集合体なので、もろに学際的。 非常に学際的。 難しいのはね、学問を学際的にやるのはそう難しくはない。 それは、学問を発展させるには学際領域が一番良く発展する、昔から。 要するに、学問というのはそれが発展したところを見るといつも主流からはちょっと外れてた学際領域だった。 だから学際領域の学問をやるのは難しくないんだけど、それを教育に反映させ るというのは非常に難しい。

というのは、3・4年というのはまだ学問をやっているわけではないよね。 教育というのはどうしても積み重ねが必要なので、ずぅっと伝統的な教育が上がってきて、学際的な、大学院に入って学際的な研究にぽんとほうりこむのはそう難しくない。 うちは今、脳の生物物理学をやっているから、非常に多くの学生が来るんだけど、出身は完全な物性の理論とかね、素粒子論とかさ、実験もあるけど、要するに生物物理学の研究をしてきたっていう学生はほとんどいない。 学科で教えない。 ある程度少し教えるけど、生物物理学分かるように教えるとこないし。 だから、伝統的なものを教えてそれであるレベルになって、それから研究は新しいことを。 基礎二の方針は面白かったけど、最初はやっぱりうまく運営していくのが難し かったのは、3・4年のかなり早い時期に学際的な教育をするっていうのは教育 としては結構難しい。

それは、基礎科学科というのがあってさぁ、第一ね、第一ももう何十年も経っているけどどうやってるのかっていうのはいつもみんなが悩んでるんでね。 物理と化学と生物をパラレルに何でも好きな、意気込みに応じて学問できる、そこから選びなさいというようなやり方はできるんだけど、最初からその学際領域の教育をやるというのは教科書もないしね、難しい。

岡本:
川戸先生は基礎一の担当をされてたことも。
川戸:
現在は基礎一でなくて基礎科学科となってますけれど、そこの生体機能コースで教えてる。 そこで生体計測学というのをやっている。 それはね大学院の重点化の再編成があって後期課程が再編成された時から教えてる。 本当はね、後期課程の3学科というのは融合しないとうまくいかないところがあって、なかなか難しいとこなんです。
岡本:
基礎科学科の、昔の基礎一の学生を対象にして講義をするのと、基礎二の学生を対象にして講義するのとでは何か印象が違いますか。
川戸:
印象は違いますね。 しかも年ごとに違う。 僕の基礎科学科第二の印象は、何と言うのかな、、。 僕はね、講義と言うよりは論文演習とか何かを、何とか講読とかあるよね。
鈴木:
外国語論文講読。
川戸:
うん。 確かに外国語論文講読とそれから実験にちょっと関わったんで。 それと卒研というもので。 たぶんね、講義があったのは両面開きの時の1回や2回だな、生物物理学の。 印象は人にもよるけれど基礎科学科第二の学生はかなりできが良いと言うんでしょうか。 論文講読やっていてそう思った。 それは人にもよりますけれどね。
田中:
基礎二の授業は基礎一との両面開きだったんですか。
川戸:
いや、それは歴史的にいろいろあったので、両面開きにしようとして。 今でも池上先生と金子先生は両面開きにしてると思うよ。 我々の生体機能コースで講義をしてもらって。 数理生物学か何かを。 それは池上先生と金子先生がたぶん隔年でやると。 それは両面開きにした。 まず学生数がそんなに多くないから。 僕が例えば本郷の物理で生物物理の講義をするときは100人くらい聞きに来る。 それは生化学科から来たり薬学部から聞きに来たりして、全部で100人くらい。 ここで両面開きにすると約50人くらい。それくらい来るとねいわゆる非常に活発な講義になる。 基礎科学科で今講義をしているときは最初はまぁ40人くらい、いつもは20人くらい、それでも学生は来るようになった、生命認知学科の学生が来る。 基礎二の学生は時間的にももう来ない。 それぐらいいたほうが学生としてもいいと思う。

論文講読はね良く覚えているんだけど。 1人か2人しかとらないんだけど僕の論文講読をとった学生は非常に良くってね。 それはもともとの論文講読というものの性質もよるけれど、1人か2人でもうまくいく。 最近ね、大学院と4年生とか3年生の両面開きをやってるんですけれど、そうすると大学院生がリードしてくれるから、いろいろ深くやれるというか、3年生4年生だけだとやっぱり基礎知識が足りないから英語を読みこなすだけで大変。 本当のそこに書いてある学問分野について説明するのは難しいですね。 先生ばっか説明していても講義にならない。 院生と合わせて全部で7・8人いると非常に学問的なレベルも高くて非常に面白い。

岡本:
学問的なレベルを講義や講読の中で維持していくという時には、何が一番難しいと言えるんですか。
川戸:
学生のレベルです。 学生のレベルとマンパワー。 学生は、非常に良い教科書の一部分を担当するんだけども、とりあえず学生が意欲があってこなせるというのが大事で、それでなおかつ5人くらいいると、やっぱり5人くらいいると分担できるでしょ。 訳す duty が分散されるので自分が訳に当たってない時に他の人の担当を聞いて何か考えることができる。 1人か2人だといつも分担されているから訳すだけで大変。 っていうのはありますね。
岡本:
多過ぎて大変、ということはありますか。
川戸:
うん。 10人以上。 7人以上になるとね、学生の間の能力の差がかなり際だってくるから、ついて行くのが精いっぱいの学生はもう小さくなってしまう。 だから、5人くらいが適当だと思いますよ。 ちょっと引込み思案の学生がいても5人くらいだとちゃんと分担して発表する。 それが、講義のような一方通行のような授業じゃなくて、論文講読みたいに7割くらい学生からの働きかけが必要であると。 でも2人でもね、結構できるものだという気がします。 それは材料の選び方によることも多いけどね。
岡本:
材料というのは読むものということですか。
川戸:
うん。 非常に最先端の論文を渡すとこれはだめ。 大学院生でもだめ。 それはやっぱりかなり経験が要るよね。 2・3年やると大体分かってくる。 やっぱり教科書的に書いてあるものが学生は非常に分かりやすいと。 最先端というものはね100%の結論が出せない。 だいたい70%か60%くらいしか確かではない。 あとの40%は推論が書いてあります。 学生はそういうものは理解できない。 もう100%結論がはっきりしてないと理解できない。

それから教科書的なものは図が非常にたくさんあって、図と図の説明を訳させるようにすればいい。 本文もやると理解できない可能性があるから。 本文が理解できるのは修士でも結構大変。 最近でも教科書はさ、イラストレーションがものすごくきれい。 図の説明と図を見るとかなり分かりやすい。 名門の教科書とか良いよね、Cell とかさ Biochemistry とか Molecular biology of cellとか。 最後はほとんどそれ。 能力がある学生は本文も読んで良いですよ。 そうでない学生でも図と図の説明を説明させるとだいたい理解できる。

岡本:
ジュニアの教育とシニアの教育と大学院の教育というのはやっぱり心構えが違うところがありますか。
川戸:
心構えが同じでも結果は違う。 やっぱりね、人数が非常に大きな factor であるというのと、ジュニアはやっぱりみんな目的が違うんで、どこを対象にやってるかと言うとちょっと真中より上の学生を対象に講義するんだよね。 それでもそこにはいろんな学生が自分の立場で不満を言うんで、えらく疲れる。 で、後期の授業はもうちょっと専門的に絞られるんで、学生も聞きたいことが聞けるし、先生も専門に近いのでやりやすいことはありますね。 で、大学院の教育はその学生の将来に関わってくるんで、学者になりたいという学生が多いから、うちの大学院生は。 将来ものにしよう、しなければいけないという義務があるからそこが3・4年生と違う。 3・4年生はもっと独立。 私は別に先生の研究室に入るわけじゃないから、とか言ってるし。 そういうところの教え方が違う。
岡本:
大学院でいろんな学生さんを見たり、後、理学部の方で講義をしたりして、基礎二の学生の特徴というものは何かありますか。
川戸:
最近よく分かってきたんだけど。 僕の卒研で来たのは2人いて、その後はここの担当から外れたのかな。 2人とも文科系から来たんで。 それが一つの特徴。 文科系から来た連中でも物理学の連中よりもむしろ物理学ができる。 その理転が非常に面白い。 僕はね、あの理転をもっと増やした方がいいと思うね。 でも、基礎科学科で理転はやっぱり文科系が怒るね。 僕はね、文科系の学生であんなに物理ができる学生が結構いるというのが非常に面白い。 いや、本当にできるんだよ。 数学とか何かができないから文科系に行くという、そういうのが我々の年代の特徴だったけど。 文科系が非常にできるけど理科系に入ってくる学生は昔から多かったよね。 我々の年代なんかそりゃ非常に多かった。 就職がいいとか何とかあったと思うけどね。 その文科系の中に理科系が非常にできる連中が結構いるというのは、それは非常に楽しかったですね。 それが基礎二の一つの特徴でね、たった2人しか入ってこないわけで。 たった2人しか入ってこないからものすごいできる人しか入ってこれない。 だから入って来た人は非常に良くできる。

それからもう一つはですね、修士まではみんなほとんど進むよね、基礎二もね。 向井君の同級生でドクターまで残ったのは彼一人。 で、出来るんだけどだいたい修士でやめて、役人になる連中多いよね。 池上研にいた学生も科学技術庁に就職したし。 要するに、そういうふうに外にでると言うか、平澤さんなんか特にそういうふうだったけど。 政府のシンクタンクの一員になるとか、そういう望みを持った人が結構いる。 それは学生に聞きたい。 僕はその外から見てて就職だけなんか見てるとそういう傾向がある。 つまり学者になるという人は初期のほうは多かったけど最近そうじゃないね。 ドクターまで残るの極端に少ないんじゃない?

岡本:
残るっていう形より、ドクターから入ってくる人も多いですね。
川戸:
ああ、そう、最近。 昔はそういなかったよね。 まあ入ってきてた人もいるけど。 基礎二の学生という目で、下から上がってくる奴を見ていると半分はいない。
岡本:
修士の卒業生の全体を取れば半分くらい。 基礎二から上がってくる人の中ではドクターに上がる人はその比率よりは多くはないと。
川戸:
向井君の学年で一人しかドクターにいかなかったから最近はそうかなぁと思って。 池上研にいた学生なんかは結構4年生の時に基礎二の担当をやってた。 そういう学生で、もともと学問に非常に興味があった学生で、本当は実は役人になりたいとか言って(笑)。 僕はそれはいいと思う。 そういう学生気質というのがありうると思う。 そうではない?学年に依るかな。
鈴木:
それは気質からきていると思いますか、それとも教育からきていると思いますか。
川戸:
やっぱり学科を選んだときからそういうのはあると思うけどな。 半分くらいは中に入って学科の気質からきている。 例えば杉本研の専用計算機。 杉本研に入った連中は上に上がったのが多いよね。 自分の選んだ研究室とか研究に依るというのも結構あると思う。
岡本:
それは逆に言うと、基礎一の学生さんは、
川戸:
基礎一は学者になるのはそう多くはない。 僕は生命環境科学系という大学院にいるんだけど、修士に入ってくるのはうちの学科の学生の半分ちょっとで。 いや、他から受けてくる学生が優秀なんで結構落ちるんだよ。 物理・化学になるとやっぱり修士で就職する連中が多いけどね、もともと。 実験物理とかは就職が多い。 理論はどうかな。 それは皆さんみたいに統計をとる側の方がよく分かってるでしょ(笑)。 僕はつき合った学生は良く覚えているけど、全体的なのはあまり僕の印象はちゃんとしてないから。
岡本:
基礎一や基礎二の学生や大学院生を指導することは、3・4年生の時に例えば基礎一だったら物理もやって化学もやって生物もやってという部分があるんですけれど、川戸先生は理学部御出身で、理学部で例えば物理をずぅっとやってきた学生と物理とか化学とか生物とかと広くやってきた学生というのを指導するのには違いがありますか。
川戸:
うん。 それはね、内部に入ってから、やっぱり、、いろいろ具体的に言うと、僕は最初、細胞の中のタンパク質の相互作用というのを時間分解レーザー分光法というので計っているわけです。 そういう時は物理の学生が生物試料をプレパレーションするのはやっぱり最初は助けてもらう所はあるけれども。 最近はね、脳の、本当にねぇ、毎日毎日ラットの脳を切ってね、そこで記憶学習とかのを計ってるから、そういうのは生物か化学の学生の方が最初のハードルが低くて、生々しいこともできると。 物理で入って来た学生はやっぱり、脳をやりたいという非常に強い希望を持っていても血を見るのがいやだとかね、だから半年以上あまり生々しいことをさせない、と。 目の前でラットを5匹くらいぱかっと脳を開けてね、やっぱりものすごく血がでるよね、 断頭台でぽちょっとやりますよ(笑)。 エーテルの中に漬けてね、くたっとなった奴を取り出して、ちょんとやるんだよね。 たぶんね、僕の研究室はね、生物の研究室よりもずっと生々しい。 生きたものをやりますからね。

生物の研究室はねバクテリアとかさアフリカツメガエルの卵なんてね、なんか生きてるか死んでるか分からないような、一応生きているんだけど。 我々のところは生きてるのを持ってきてそいつをエーテルの中に入れてね、くたーっとしたのを取り出して断頭台でぴちょっとやって、それから頭蓋骨を取り出してという、脳は本当にそれくらいやらないと取り出せないんで。 僕は自分が大学院の時にそういうことをやりたかったんだけど、とても生物物理のレベルがそんなものじゃなかったんで、そういう生々しいものは扱えなかった、脳のことわからないし。 しかし、本当に脳の機能を解明しようと思ったら、最後はレーザー光線で見るんだけど、最初は絶対そういうふうに取り出してきて、誰もが取れないような、医学の人でも取れないような部分を取ってきてやらんといけない。 そういうことは、この学際の学科で育った学生が半分いると、うちは生物系から、別の大学からも結構たくさんくる。 生命系の学科からちゃんと入れると、そういう学生が半分近くいるから、そういうことができる。 例えば物理の教育ばかりを受けてきた学生ばっかが集まっていると、こういうことができない。 本当の学際の研究をやろうと思った時には学際領域を出た学生は強みがある。

だから、理論ばかりやってきた学生も入ってくるわけですね、生物物理なんか一切やらんでいいといって。 半年くらいはそういうことをやらせない、後じぃっと見てるとね、だんだんだんだんとね、やっぱり変わってくるんですね。 そういうことは最初は嫌だけど結局やる、と。 人のやることを見ているとできるようになって、一年くらい経つとほとんどバリアなくチョンとちょん切れる。 そう取ってきたものをデジタル蛍光顕微鏡で見てさ、情報伝達の様子をスクリーンで見るとこれはなかなかきれい。 もともとは医学部の人とか生化学の人のとったものをもらってきて、それをくだいて人工細胞なんかを作ってやってたんだけど、やっぱり本物をやらなくちゃいかんと。 で、医学部は医学部なりに弱い所があって、物理の実験が弱いとか、新しい物理測定機器を使わないと何も計れないのだけれどもそれは勉強する必要がある。 学際領域というのは非常に研究領域として多いけど、その中で学際的な教育を受けてきた学生はその能力を非常に良く発揮できることは大きいですよね。 日立の中央研究所にね、基礎科学科の卒業生が結構いて、成功している分野ですけどね、半導体レーザーを作ったりしている。 それから今はもうMRIの装置ですよね。

もう一つは脳に帽子をかぶってね、赤外レーザー光を10本位いれて、文字を読んで考える時に、赤外レーザーで、脳波みたいなものじゃなくて本当の中のopticalな変化を見ることによってね。 赤ん坊は頭蓋骨が薄いから良い。 レーザー光で一番難しいのが頭蓋骨が通らないということ。 で、赤ん坊が言語を獲得していく研究をやっているんです。 そういうのが、ちょうどそれが基礎科学科の第一期生くらいなんで、やっぱりうまく成功しているなという気がする。 最近は、例えば内部資料を見るとさ、量子力学の点数と生物学の点数を比べるとわりあい直線なわけ、量子力学の点数がものすごく良い奴が生物学が一番良い。 理論生物とか何かそういう研究室に入っているけど。 意外とちゃんとそういう境界領域の学問を教えられるようになってきたんじゃないかと。 それがどういう結果を産むのかというのはものすごく時間がかかるんで、結果出すのに。 そういう人が教授とか所長クラスぐらいにならないと本当に成功したかどうかは分からないよ。

鈴木:
基礎二はまだまだ結果は分からないんでしょうか。
川戸:
だってまだ若いよね。 助教授クラスでしょ。 牧野君なんか第一期生で、彼は助教授でしょ。 だから、誰でも分かる結果というのはもうちょっと時間がかかると思うけど。 僕はうまくいっていると思うよ。
鈴木:
基礎一の場合は生物・物理・化学とかを広く学んで境界領域、生物物理学とかをするんですけれど、基礎二の場合はどっちかと言うと自然科学と社会科学の境界領域ということですが、そういう教育もうまくいってるんでしょうか。
川戸:
僕は実際にそれを担当していないんで、それに対してコメントはなかなか難しいね。 それはそれに対してコメントを出せる先生がいる。 例えばね、役人になっていくっていうのは、科学を学んでそれから行政官になっているわけでしょ。 そういうのはその具体例だと思いますけど。 僕の同級生に工学部の連中がいてさ、工学部は役人になるやつは結構いるね。 理学系より工学系のほうが役人がずっと多いね。 通産省、建設省てなふうに。 そういう連中は教育は完全に理科系なんだけれど、中に入ってみると科学行政というものはまだ法律で、法律がちゃんとしないと科学行政うまくいかないとか。 そういう人間が非常に必要であることは確かで、それも卒業生をたどってみると分からないでもない。 でも、役に立った連中は結構いるでしょ。 シンクタンクに行く連中っていうのはいっぱいいるでしょ。 コンサルティング会社というのも相当たくさん増えてるよね。 たぶん、時代の流れにあってるっていう気がする。 基礎二は特にこういうふうに人にインタビューしてアンケートを取ることをやってね。 これは全然関係ないんだけど。 そのアンケートの発表によく立ち会ったことがあるんだけど、あんまり良くできてないような気がする(笑)。 アンケートは良い。 それから何かを結論するところが非常に難しいんですね。 それに関係するんだけども、文科系と理科系の融合ってやつでね。 環境問題とかさ何かテーマにして卒研の発表とか結構あるじゃない。 修士の発表とか。 半分以上の学生があり来たりの結論をする。 そこで非常に光ってね、非常に具体的に実りのある結論を出すのはすごく能力がいるなという気がしましたね。

一つ印象に残っているのはね、マルチメディアの発表というのがあった。 4・5年前のマルチメディアで、IBMとかのいろんなところに行って、かなり上の人に会っていたんですよ。 インタビューは非常に良い。 結論は陳腐だった。 マルチメディア学科を作るべきだって(笑)。 結論はマルチメディアはアメリカに比べて日本はものすごく遅れていると。 これを盛りかえすためにマルチメディア学科を全国に作って行かなきゃいけない(笑)。 マルチメディアの中でも日本がすぐれているものがものすごくあってね、たくさんあると思うんだけど、日本じゃ何かしらんけど、アメリカ人もそうらしいけど。 日本人はアメリカじゃこうだというので相手を説得しようとする、アメリカの連中はね、 French is speaking in this way. と言う。 そうするとものすごくブーイングになる。 日本で進んでいるというのは知っていると思うけど、マルチメディアが。 2つのものが圧倒的に日本は進んでいる。 何でしょう。

岡本:
メディアって言うかはあれですけれど、僕がぱっと思いつくのはアニメーション。 日本のアニメーションは海外で高い評価を受けている。
川戸:
川戸先生 そうだよね。 みんなたぶん外国まわったことないからよく分からないと思うんだけどね。 例えばロンドンなんか行くとさ、一番繁華街の一番いいところにディスコのプローブみたいなのがたっててものものしいんだよ。 それでなんか高級な入口があって、何かなと思うとさ、ナムコとセガとプレイステーションがいっぱい並んでいる。 向うではね、結構高級なんだよ。 日本だったらバカが行くところだけど(笑)。 それでそこは守衛みたいなのがいっぱい立って、しかも非常にドレスアップしている。 日本のゲーム機というのは完璧に世界を支配している。 インターネットよりもうちょっと上のレベルのゲームソフトと言われるところでは完璧に世界を支配している。

それから、アニメーションというか要するにマンガですな。 要するにマンガがものすごく高級なんだよ。 向うのマンガというのはこんなバカなものという、バットマンとかね。 あれが一番良いんだよ。 それとバットウーマンだったかキャットウーマンか何かあったね。 あれが大々的にヒットするくらいレベルが低いんですよ。 つまり哲学性もなにもないんでね。 君らあまりマンガ読んでない? ゴルゴ13なんかは?

岡本:
ちょっと時代が、、、
川戸:
ゴルゴ13はずぅっと続いているよ。 あれが非常にしっかりと調査して書いてある。 マンガというのはやっぱり自由にやってるので、良いものは2割でバカなものは8割だけど、massがないと発展していかないんだよね。 その2割が非常に良くてさ。 例えば、保険会社というのがある。 セキュリティーカンパニーみたいなのあるよね、インシュランスカンパニー。 保険会社というのは衛星保険とかなんかかけているけど、その元締めの保険会社というのがあるというのを知ってるかい。 保険会社というのは自分のところの保険をさらに次の保険会社にかける、その保険会社は更にその保険をかける。 一番最後にそれをまとめて引き受けましたというのはなんて言う保険会社か知ってる?
鈴木:
ロイズ。
川戸:
ロイズね。 ロイズはゴルゴ13に書いてある(笑)。 で、無限責任みたいになってて、それはマンガの世界だと思ってた。 あれがなぜ良いマンガかと言うとね、実にタイミングが良くてさ、その後1年か2年してロイズが破産したんだよ。 で、ネームが数人自殺した。 気象異変が起きるとか、衛星打ち上げビジネス、地震とか非常にたくさんやってた。 それでロイズの無限責任はやめてしまって有限責任にすると。 そういうのは外国のマンガにはいっさいない。 一つ非常に良いのは、ローマ時代を扱っているマンガがあるんだよ。 僕は大学院を卒業してからチューリッヒ工科大学に助手に行ってたんだけど、そのとき毎日毎日それ読んでた。 ヨーロッパに良いマンガはあった、と。 ローマ時代を扱ったマンガ。 それはさすがによかった。 日本の歴史マンガに匹敵する。 他はおよそ知性のかけらも感じられない(笑)。 そのずっと後にマンガ日本入門とか。 日本人はとにかく英語とかドイツ語とかフランス語とかでは出版できないので、絵を付けて出版しないと世界に自分を理解させることができない。 ところがね、絵を付けて出版すると非常に良く分かる。 で、その訳本買ったんですよ。 あれは international。

とにかくそういうようなかけらでも卒研で発表してくれれば良かったのにさ。 卒研の発表は新聞に書いてあるように、日本のマルチメディア学科を作っていってどうこう、何年遅れていてどうする、で結果がマルチメディア学科を作る(笑)。 卒研の発表を聞いているとね、やっぱりなんて言うのかな、こういう新しい分野でこういう面白い卒研のやり方やられているのを、先生は良し悪しは分かる。 キラッと光るのは非常に難しいという気がするね。 ものすごく学生の能力を要求するやり方だという気がする。 つまり、また元に戻って来るけど、伝統的な学問はずぅっと教えていってそれなりに一生懸命勉強していれば良い。 で、学生にこういうふうに freedom を与えてやりましょうというときに学生の能力が非常にいるという気がする。 卒論よりは修論の方がいい。 卒論はどうせoriginality なんかだせないとみんな思っているから。 修論になるとまぁ originality を出さないともうそれは修論ではないと。 その時、修論の発表聞いていると極めて originality がない。 それは伝統的な学問じゃないから originality を、先生が非常に個別に指導したりね、ここにこうふうにつけ加えなさいというふうにはなかなかいかないので、大きなテーマを扱ってしまうというのが目につく。 新聞のコラムみたいに、やはり日本は遅れている、とかバカみたいな結論を出してきてお茶をにごす(笑)。 なかなか学生にとっちゃ大変だなぁって気がするね。

田中:
そうですね。 基礎二みたいな学際をうたっているようなところは、学生の originality を出すというのは責任がどこにあるのかちょっと分からなくなってくる。
川戸:
それとね、originality をどういうふうに与えたら修論が書けるのか、っていう指導者自身もかなり難しいと思いますね。 生物物理学みたいだとかなり確立していて、しかしまだ学際なので、どこを与えたら学際領域に、新しいか古いか30年後じゃないと分からない。 それでも他の100年とか何百年の伝統のある学問に比べると、これはもう学際的である、と分かるから、そういう指導は生物物理学ではそう難しくなかったね。 でもその文科・理科の融合は難しい。 それは難しいよね。 それができたら文科系の官僚機構がなぜ科学技術の指導をしているのかという、丸っきり矛盾な体制ですよね。 これも外国のことだけど、もうちょっと理科系の人間が科学技術の方策を決めるシステムをとっていく必要があるのと、そういうふうなコントリビューションが高いような国もヨーロッパやアメリカにはあると。 でも、それは一部分で全部が良いのではなくて残る部分は全然だめ。 日本は圧倒的にまだ文科系が支配しているよね。 でも、文部省は、文部官僚は文科系だけど少なくともいい。 文部省の方策というのは、大学教室の研究者の数を決めているのでそれは良いんだけれども。 科学技術庁は理科系がやるところで、建設省は半分、通産省は文科系でね。 通商産業政策というのは非常に理科系なところが多くてね。 僕の知り合いに有名な弁護士がいてさ。 工学部の電気出た奴なんだけれど。 特許の弁護というのをよくやってて、他の弁護士がほとんどわけが分からない人が多いので特許の弁護というのがいっぱいくる。 それは非常に重要な国の政策を決定する部分だという気がするので、理科系でそういう文科系なところに融合で進むのは、これから5年とか10年の span で見るとものすごく役に立つと思うんだけど。 教育でこれをどうやるかというと難しい。
鈴木:
基礎二では社会科学と自然科学の融合とうたってますけど、結果的に修士で、例えば化学なら化学、物理なら物理というふうに専門に入るようになりますけれど、そういう段階の時に研究者としては成功する可能性はどうなんでしょうか。
川戸:
全ての学問とは言わないけども半分くらいは、日本が世界をリードするようになったので新しいことをやらなくちゃいけない。 今までは2番目をやっていればよかった。 誰かが一番大きな基本的な基本的な筋道を立てて、それを適用して発展していく、と。 そういうのが多かったんですよね。 最近は新しい方針を見つけなければいけない、というときには、教えられたことをもうちょっとフレキシブルな発想でいろいろやると。 抽象的に言うから分からないかもしれないけど、考え方で新しいものを見つけるというのはなんかいろいろなことを考えてあることがあってはっとうまくいくということなので。 そういう意味で新しいものを見つけることが重要なんだ、という phylosophy で生きている人間にとっては学問の一番先端で成功することへのスプリングであると。 もともと伝統的な学科の教育もものすごく、工学部なんかでも変わっていると思うよ。 昔の学科潰れているのいっぱいあるでしょ。 原子力工学科が潰れたりなんか(笑)。
田中:
潰れてはないですよ。
川戸:
量子システム工学科に変えたんだよ。 原子力工学科じゃもう学生がこない。 工学部はものすごく変わっている。 学生は知らないよね。 そうでないと生き残れない。 とにかく学生が進学してこない。 工学部は学科が陳腐化するのがものすごく早い。 応用をやっているから。 もう少し基礎系をやっているのは、基礎というのはどこでも必要でそんなに10年20年の span で変わらない。 応用の先端というのはどんどん変わっているんですよ。 だってそういう職種自身がなくなってくる。 そういうところに人を出すのが工学部と農学部と薬学部っていうああいう応用学科の使命。 そういう意味で伝統的な学問がどんどん変わっているので、新しい側面を開いていくという意欲のある学生はいいよ。 もう一つは、でも、基礎は一つだけはしっかり持たなきゃいけない。 化学か生物か物理かどれかは非常によくできないとだめ。 一つやっぱり何か伝統的なやつのベースがないとそれを広げていくのは難しい。
田中:
基礎科学科第一は物理、化学コースとか数理コースとかありますから一本通るというのはあるはずですよね。
川戸:
いや、それでもね、、
田中:
そうでもないんですか。
川戸:
それはね、物理をやってきて学生が僕の生体計測学を聞いて生物の方に移ってくるのはそう難しくないんだけど、生物ばっかやってきた人間がとたんに量子力学とか物性理論とか何かやらなきゃいかんとなると、これは大変なんですよ。 必須単位なんで避けて通れないと。 それは大きいよね。 そうするとね、やっぱりある程度意欲が萎えてってしまう。 そこをうまくクリアする必要があるんですよ。 これだけをとってその世界に、どうしても他のやつを必須単位でとらなくてはいけないというところから、結構ロスするんですよ。 それは難しい。
田中:
そこをいくと、基礎科学科第二はコースというのがないんですね。 しかもいろんな分野のものを取るようにできているんですけれど、先生は授業をやっているときはそこらへん学生はどのように感じで受けていると思われましたか。
川戸:
分かりませんでしたね(笑)。 そういうところは、運営というのにそんなに携わっていなかったから。 とりあえず来た学生はちゃんと教えると。 それはね、なかなか難しいよ。
田中:
それに関連して、、。 基礎科学科の先生の方からは何かこういう授業をやって下さい、と言われましたか。 例えば学科長の先生からとか。
川戸:
こういう授業、、いやー。 小牧先生とか池上先生がやっているのは自然システム4とか何かあって、それが一番対応してて、例えばエネルギー何とか論というのかな、小牧先生がやっている、わりと専門に近いところをやる。 そういう対応になっている。 誰かやってる? あの非線形・非平衡とか。
田中:
池上先生は非線形システムとかはやってらっしゃってますけど。
川戸:
それは池上さんの専門だね。 僕のときはね、言われたことがありますよ。 非線形・非平衡の理論教えるのは非常に勉強しないとだめで、実験のほうが分かっている、というので考えたんじゃないかな。 できる人が来た時にそれを開講してやったほうがいい。
田中:
学科名というのは代えられるものでないので代わらないんですが、担当が代わっている。
---------------------しばらく基礎二の授業担当教官名簿を見ている---------
鈴木:
川戸先生とか小牧先生とか、だいたい物理系のところで持ち回りで、
川戸:
そうだね。
田中:
川戸先生はそのあたりの時期に、授業をやられたり卒研生を持たれたりと。
川戸:
そうだね。 これは基礎科学科だと生物物理学1か2のどちらかの両面開きだね。
田中:
あと院生とかは受け持たれたんですか。
川戸:
院生は、、
田中:
広域専攻の、
川戸:
だから、今の向井君は院生で、2人目が入った頃はもうはずれた。 卒研は2人、院生は1人と。 まあ他の連中の院生も知ってたけど。
鈴木:
先生が受け持っていた授業というのは、どちらかというと、、、基礎二の授業では方法論と対象系というのに分かれるんですけれど、自然システムとか生物とか物理とかって言う時に扱う対象の方を例にしてやると、その他に方法論としてシステム理論とかを学ぶというふうになっているんですけれど。 方法論の話しとか伝え聞いたとかありましたか。
川戸:
どんな授業かってこと? だいたい入試問題見るとどんな授業やってんのかなって分かってくるけどね。 修士の院試問題見るとね。 でも、実際にはそんなには知らないですね。 他の先生の授業なんかなかなか聞きにいかないしね、よく分からない。 学生が、こんなことやってますよ、というのを聞くぐらいでね。
鈴木:
方法論と対象系とで授業は分けていますけれど、phylosophy とかは最初に聞かされたりとかってことはなかったんですか。
川戸:
そういうのは書いたものを配られてて読んでたので、そんなに先生にこれはこうですとあまり言わないよね。 でも、だいたい実験系の先生が教えるのとね、理論系の先生が教えるのはだいたいこんな感じかなというのは僕らは分かっているからね。 そこらへんの本なんか読んでさ、教科書なんていっぱい出版されているし。
岡本:
生物物理の方法論とかっていうものが、他の分野に活かされる場面というのはありますか。
川戸:
生物物理の? それは非常に具体的に言うと、断層撮影というので生体の中のものが分かるという、生物物理の方法論ってそうですよね、物理的に測定して。 それが非常に良くできた分子機械として動いている。 最近みんなそう思ってる、断層撮影のやつ見るとさ。 どこの部品が壊れているとか何とか話しで。 それは昔とずいぶん違う。 昔は薬を入れて治すことだった。 とにかく中の、生体の中が、、、。 生物物理の方法論、、、。 断層撮影するということ自身生物物理の方法論、、、。

それまでなかった。 メスで切り開かなくて、その箱のなかに入れば皆さんの断層像を撮れます。 3次元再合成して細かいところが分かる、と。 断層像を撮っているんだけどいったいそれは何を反映しているのか、要するにプロトン見ているんだけども、プロトンが癌細胞の中と、ぼけになって脳細胞ないところのプロトンと、脳のつまったところのプロトンと、spin の relaxation が違うからそれがここの画面にでてるんです。 ということ自身が生物物理の方法論。 そんなことが起こるなんて誰も考えはしなかった。 色が付いているけどさ、色がついてる断層撮影ってあるでしょ。 僕の部屋に講義用のやつがあるんですけれど、自分の脳をとったやつ。 酒飲んで倒れた時に断層撮影とったやつがあるんだけど(笑)。 僕は酒飲んだせいで倒れたと思ってなかった、風呂出たらなんか動けなくなった。 それが実はプロトンのspinのrelaxation が色付で示されている。 それを見ると、脳が空洞になったところと脳がつまっているところと、出血のあるところとっていうのが分かんるです、と。 それが一番具体的な方法論ですよ。 もろに研究室でやっていることが5年後には病院の機器となって並んでると。 ものすごくでっかい機器ですよね。 病院は喜ぶんだよ。 あれで計ると保険の点数高い。 だからああいう機械で計るとさ、いろいろ儲けるわけで。 昔はあんなMRIで脳をやるとは思わなかった、最初はX線だけだった。 あの水を計るだけでこんなことが分かってくる。

次はレーザー光線。 今は、考えているところ、言語を獲得しているところがわかる。 今まで脳波だけを見ていた。 脳波は要するに漏れてくるノイズでしょ。 漏れてくるノイズなんか計ってもどうしようもない。 僕らの大学院の時やっと僕らの研究室で赤血球の超音波測定というのをやった。 あの頃そんな超音波をあてて赤ちゃんの心臓動いているのが見れるなんて思わなかった。 そういうところで生活が変わってしまう。 だから我々の考えも変わってくる。 要するに、中で何が動いているのか分かる。 それで発達の度合も。 今は心臓が動いているとか手が動いているとか。 胎教がなぜ重要かっていうのはずっと分からなかった。 お母さんが music を聞くと赤ん坊がものすごく嬉しがってぐるぐる回るんで ね、これは胎教が絶対必要だっていうのが分かった。

川戸先生 それで、僕の研究室で一番面白いのがね、一つはなぜ興味を持ってこうぱっと見ると、興味のないものはもれている、興味を抱いたものだけを記憶すると。 もう一つは、ストレスがかけられた時に直ちに記憶細胞が死んでいくというのを発見したんで、これは非常に面白い。 それまではそんなものじゃなくて、ストレスをかけると、3週間ストレスをかけたネズミの海馬を切ってみると確かに記憶の神経細胞が消えていくんだよ、きれいに消えていく。 ものすごくストレスがかかるとたった5分で死ぬ。 ストレスっていうのはこっから副腎ステロイドホルモン、海馬の神経細胞にかけるとね5分で神経細胞がきれいに死んでいく。 そういうのが分子メカニズム。 そういうのは今論文書こうとしてるんだけどね、それは世界で初めて。直ちに神経細胞が死んでいくので、ストレスなんかがあると夕方もの覚えが悪くなったっていうのは本当に死んでて。 何かそういうふうに、今まで感情とか気分とかなんかそういうふうに理解していたものが、本当に物質的に起こると、そいつをスクリーンの上に見ることができる。 デジタル顕微鏡でスクリーンの上にぱっとかけるとカルシウムがバーンと入っていって死んで行く。 つまり、これまで漠然と気分とか感情とかなんとかと思っていたものを本当に物理的なイベントとして、要するに分子のイベントとして目の前のスクリーンに出す。 これがまぁ、病理的にはそれが気分だっていうことなんですけどね。 医者は臨床だからそんな基礎的なものをやっていない。 それが応用になった時に利用する。 この画面にはいつも色付なのがでてきますけどこの疑似カラーは何を意味している? ある時は spin の relaxation を意味しているし、ある時はカルシウム信号だし、ある時は言語のって。 そういうのを我々が基礎付けていく。 それをメーカーが装置を作ってと。 そのサイクルはものすごく短くて。 これまでは結果にたどりつくまではものすごく遅かった。

岡本:
基礎二がうたっていることで、基礎二が扱う対象はシステムというのと、マクロな対象と、あとソフトっていうのを扱おうというのを言っているんですけど、生物物理の分野もしくは川戸先生がやってらっしゃるような研究の中ではマクロとかソフトっていう言葉はどのような意味ですか。
川戸:
地球環境のようなマクロではないけれども、本当のタンパクとか、電子とか原子から見ると非常に複雑なシステムで、脳なんてものすごく複雑ですよね。 入力の多い出力を変えるように非常に複雑なシステムでしょ。 複雑系が一番いい例。 そういう意味では生物の一番マクロなシステムを理解すると。

それからソフト的というのでは、そんな大がかりな観測器を使うんじゃなくて、、、。 まぁコンピュータで、その3次元断層撮影というのが半分はコンピュータで画像処理して構成するっていうことだよね。 僕が画像解析の、顕微鏡画像解析って始めたのは15・6年前。 日本ではほとんどやられてなかった。 あれはアメリカの偵察衛星の写真からロシアのミサイルがどこにあるかというのを画像処理で見つけるというのが一番最初でね。 それがばぁっとやってきて、一番成功したのが一つは顕微鏡の下の細胞の中のこれまで見えなかった分子の動きがシステム的にどういうふうになっているか。 で、同じような装置を天体望遠鏡につけると今まで見えなかった超新星の爆発が見れる。 システムは同じ。 望遠鏡につけるか顕微鏡につけるかの違いだけですよ。 特殊な画像解析システムっていうのはほとんどソフトでね。 いかにしたらノイズを落してその中に含まれているエッセンスの画像を取り出すだけ。 一番最初はロシアのミサイルがどこにあるか。 それがサイエンスに入ってきて天体望遠鏡ではるかかなたにぼーっとしているところから超新星の爆発が見れるわけね。 生物物理は顕微鏡でそれを見る。 顕微鏡で見ると細胞の中は宇宙のように複雑。 でも山のようにたくさん複雑なものがある、その中で非常に重要な信号、一つの信号だけとってきて、カルシウム信号、NO信号、グルタミン酸信号、GABA信号とか、取り出したいわけね。 その信号を取り出すには画像処理ですよ。 実時間の画像処理。 莫大で。 僕らが始めた頃はパソコンのハードディスクがやっと日本で出て、、。

田中:
8インチありましたよ。
川戸:
うん。 あれはまだいい(笑)。
田中:
あれでいい方なんですか。
川戸:
最初、だって日本のパソコンてねディスケットで動いとってね。 僕らが科学技術庁のプロジェクトでものすごい大金を使って組み立てた画像処理システムで。 具体的には、10メガのハードディスクがやっと手にはいった。 10メガハードディスクですよ。 画像ってね1枚とったら1メガ。 それがディスケットで1メガとったら、1枚とったら終りなわけ。 信号が伝達されるって、全然記憶できない。 だから、本当に技術の発達が重要。 今や1ギガ。 脳の複雑な画像もぱぁーっとできる。 そういう意味では画像解析ソフトっていうのは僕らの一番関与しているソフト。 それが半分それがないとその学問は死んでしまう。
岡本:
計算機技術の発達で生物物理学が、
川戸:
ゲノム解析というのがあるじゃない、ヒューマンゲノムプロジェクトですよ。 一次構造がいっぱいでてきて、それからどこが類似してどこが病気の原因なのかとか。 あれはワークステーションの発達によって、ワークステーションが発達するからソフト解析のレンジがものすごく助けられて、今やワークステーションで全部できる。 昔は分子研のスーパーコンピュータでしかできなかった。 いまだにできないのあるけど、これでゲノムプロジェクトというのはコンピュータの発達とパラレルですね。 戦後発達してきた学問はかなりそういう側面を持っている。 だから、そういう教育を受けると、はっきりと何かをやろうという目的が持ってれば成功する確率が高い。
田中:
システムとかマクロとかソフトとかいうようなことも復活しているように思えるんですけれども。 ちょっと administrative な話しになるんですけれど、川戸先生は基礎二をはずれたのはなぜですか。
川戸:
それは、大学院重点化の時に大きな再配置が行なわれたからです。
田中:
物理教室にとって、広域システム系というのはどういう位置付けになっているんですか。
川戸:
どういう位置付けになってるか。 物理が関与しているのは相関基礎科学でね。 僕は基礎科学科の生体機能でしょ、あと2人がシステムで。 境界領域をやっている先生はその境界領域をやっている学科で講義を出している。 他の人は伝統的な物理をやっている人が多い。
田中:
素粒子とかはそうところでしょうか、伝統的な。
川戸:
うん。 素粒子・原子核・物性理論。 それから物性の実験ね。 それは非常に伝統的。
岡本:
少し話しを変えるんですけれど。 基礎科学科の方では春頃に研究室の公開というのをやっていらっしゃるんですけれど、
川戸:
基礎科学科というよりは基礎科学科と自然科学科の有志というのでやってて、今は基礎科学科と生命認知学科、今はみんな担当することになったんだけど。
岡本:
それはなぜそうやることになったんですか。
川戸:
ずいぶん昔からやっているというのがあって、その経緯は知らないんだけど、研究室公開というのは例えば世界的に見ればopen day っていうのがあって、普通なんです。 一般公開もやる、何年かに一回。 ものすごく大々的にやる。 最近一般公開をするようになった。 公開しないほうが、要するに、公開しないというのは世界の一流大学の条件を欠いているんです(笑)。 それは普通で、別に特別な理由はない。

一つはね、卒研を選ぶ学生とか他の学生が、他の研究室で何をしているのかというのはトントンとノックしてちょっと見せて下さいと言うと、それはなんか、何か用があるのか、と言われる。 open day にするとそれがフリーにできる。 それは良いよね。 他の研究室で何をしているかというのを知る機会というのは、卒研の発表と修論の発表と博士論文の発表と open day と。 それは準備が必要なんで嫌がる先生は多いよね。 理論の人はあまり公開してないよね。 理論なんて何を見せたらいいんだとか言ってね。 実験だとばっと見せる実験装置があるわけですから。

岡本:
基礎二や広域システムの方ではそういうことをやっていないんですけれど、理論とかコンピュータを扱っている部分が多いのでなかなか困難があるということですか。
川戸:
川戸先生 準備が面倒だからというのもあると思うけど。 こうやって何でもやってみると、やっぱり準備担当に当たった人が大変。 ものすごく大変。 一つは、1・2年生に見せるという部分。 1・2年生はそれほど多くなくて、自分の学科の学生が回るという(笑)。 他の研究室って分からないんでね。 要するに授業とは全然違うわけなんだよね。 授業で教える部分と研究室でやってることは違うんですよ。 だから、3・4年生がまわって、それで卒研の内容を決めると。 それが半分以上、実際は。 効能としてる。 趣旨はとにかくいろんな人に見せることで、1・2年生に見せる、と。 1・2年生ね、休講にしない。 休講にしないからあまり来ない。 だから休講にしろという議論は、またそれは administrative 。 だから教育のことと administrative なことは全く分けて考えるべきで。 休講に反対する人もいるわけね。 それは悪いと言うんじゃなくて、それは休講にすると後々大変になるという。 休講にしないから来ないと。 ただ、そんなに来ても大変なんだよ。 今ぐらいでいいと思うんだけど。 対応するのが大変。
岡本:
大変ですか。
川戸:
大変。 学生はなんか同じことを聞く。 だからテープレコーダーみたいに同じこと言ってやる。 だから最近は院生に全部やらせて(笑)。 でもやってる時は結構大変。 ある程度 mass が来ると大変で、3・4人くらいならいいけど、何十人いると大変ですよ。 院生も嫌がる。 だから時間割にする、セブンイレブンみたいに(笑)。 そのとこにずっといるのは大変だよね。 学生にとってはねぇそんなところにいなくて他の研究室のを見てみたい。
岡本:
3・4年生しかまわってしまわないというところもあるんですけれど、それが卒研の研究室選びという意味では役に立っているのは大きいですか。
川戸:
役に立ってる。 それはそう。 学生には都合があるからその日と卒研の時まわりなさいという日と、2回くらいしかない。 先生がそこにいて待っているというのは。 あるいはその日に訪ねていって、大きな顔をして訪ねるられるというのは、普通はすみませんとかいって、先生は俺は忙しいとかいってさ。 ほんで、約束とか忘れてるしね。
田中:
基礎科の3・4年生は休講になるんですか。
川戸:
ふん。 さすがにね。 1・2年生は休みの時に来るんだよ、昼休みに。 質問もなかなか的をえない質問多いよね(笑)。
田中:
それはしょがない、、、どうなんでしょうかね。 ジュニアの教育をしっかりしろとか。
川戸:
いやいや、それはどうしたって的をえないに決まってるよ。 先生が質問したってそうなる。
岡本:
これは我々も今的をえていない質問をしてるかもしれないって(笑)。
川戸:
それから、研究室を受けたい大学院生には、その日は open day なんで来い、と。 名古屋とか東北とかいろんなところから受けてくるので、そういうことも考えて。 都内の連中はまわってくる。 大学院受験生がまわるのはかなりたくさんいる。 大学院の説明会があるんだけどそれはまた1日だけなので、予定がね。
鈴木:
最後に一つ。 先生の投稿しているジャーナルというのは生物物理。
川戸:
僕はBiochemistry とかね。 生物物理というのはあるんだけど、Biophysical journal というのが。 我々が投稿する論文というのはいろいろあって、僕はあまり Biophysical journal に投稿していない。 Biochemistry 、Journal of biological chemistry っていうのが多い。
鈴木:
さっきの話しを聞いていると、例えば認知科学のところに出したりとか、、
川戸:
認知科学とは全然違う。 文科系なんだよ。 だから molecule を見て、要するにだって、完全な物理測定ですよ。 分子システムの物理測定だから。
鈴木:
あと例えば visualization 関係とか、
川戸:
visualization っていうのは、vision というか視覚ということ?
鈴木:
視覚というか画像処理。
川戸:
Bio imaging とかあるね。 でも要するに、国際的にはランクが付いてて、国際的にこの人は世界の学会のリーダーと認められるには誰もが知っているジャーナルじゃないとだめなんだよ。
岡本:
ランクが高いジャーナルはなぜ誰もが読むんですか。
川戸:
インパクトファクターが高い。 なあなあで誰もが読んでるから(笑)。 そこの図書館に行ってもわかるけど、誰もが読んでいるというのは決まっている。
岡本:
発刊年代が古いとかいうことだけではなくて、
川戸:
うーん。 どうなんだろう。 例えばNature、Science、Proceeding of American Academy of Science、それから Journal of Biological chemistry、Journal of Neuroscience。 非常に有名な、要するに学士院紀要みたいなやつね。 アメリカ学士院紀要、そういうのとか。 あとは、アメリカの生化学会、アメリカの化学会、アメリカの神経科学会というのがあって、そこの機関誌がある。 そういうとこに投稿する。 それは非常に審査が厳しい。通れば非常によろしいと。
田中:
それらの雑誌は歴史はあるんですか。
川戸:
歴史はある。 まぁ少なくとも50年とかは。
田中:
生物物理というのは結構進歩が早くて、年代によって内容はどんどん変わって行くんですか。
川戸:
うん、変わってるよねずいぶん。 昔は、発足当初は分子の構造を見る、DNAの構造見るとか。 一番最初生物物理学者が目指したのは、それまでは生きているということは物理学的に定義できなかった。 一番最初にね、生きているのというのと死んでいるのの境を見る、と。 ここから先は死んでる、ここから先は生きてるというやつをとにかく発見したいと。 それは発見したんですよ。 それはvirus。 virusっていうのは真空中に置いておくと死んでいる、でもvirusをちょっと取ってきてちょっと我々の細胞につけるとどんどん増えて我々が病気になる。 こいつを真空中に置いておくと何万年でも生きている。 生きてるっていうか死んでる、仮死状態。 これこそが生きてるものと死んでるものの中間であると。 それは遺伝子自身。 virusは遺伝子が殻かぶっているんだもの。 そういうもので、我々は納得した。 これが生きているものと死んでるものの境だ、と。 初期の頃はそういうのをやってて、遺伝子のコードを同定して。 それがどんどん複雑なほうに行って、今や脳みたいなね。 人工細胞作ったり。 生物物理学会の機関誌の Biophysical journal というのはかなり上のランクだけど、トップランクではないんだよね。 出してるから俺はすごいだろう、とは行かない。 それでお金がどれだけもらえるかが決まる。
田中:
ランクっていうのはそうそう簡単に逆転したりはしないんですか。
川戸:
何十年もすると逆転するだろうけどね。
田中:
何十年スケールで。
川戸:
そうそう簡単に逆転しないでしょ。 良いと分かったものには世界中から人がばぁーっと投稿する。 良いものにはたくさん来る。 要するにダイムラー=クライスラーみたいなの、強くなったものが更に強くなる。 弱くなったら戦うのは大変。
田中:
生物物理の分野では急に強くなってきた雑誌というのはなかなかないんですか。 この雑誌はこの頃いいなあとかいうのへ。
川戸:
例えば我々の関係だと、脳神経科学会というのが5年位前から、医者ばっかりだったのに今や半分が医者以外の人。 学問分野にすごく関係する。 ジャーナルの名前が変わるのでなく中身が変わる。 新しく発刊して上に上がってくるのはものすごく難しいね。 ただ、ジャーナルの同じ名前なのに内容がころっと変わる、というのはちょくちょく。 それまでは解剖のばっかりだったのに、この頃は遺伝のものがでてくるとかね。 名前は変わらずに中身が変わる、と。
岡本:
なんで名前が変わらないんでしょう。
川戸:
名前って言うのは、トヨタっていうのはやっぱりずっとトヨタでありたいと思う。 伝統的な名前というのはね。 名前はやっぱり消してしまいたくないというのがあるんでしょう、それは私の知ったことじゃないという気がする(笑)。 でもそうだよね。 良い名前を残したいと思うよね。 中身を変えたい。
岡本:
じゃあ、ありがとうございました。


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